第三話 天国から地獄へ
ラブフル金融から一ヶ月後のこの合格発表の日。
天賦高校から帰る途中に道端に100円が落ちているのを見つけた。
「あっ、100円見っけ。今日はほんとツイてるなぁ」
意気揚々として努は帰路を軽くスキップしていた。
「いや〜ほんとツイてる。僕が天賦高校に受かったのも、こうして100円を拾ったのも、きっと哀れな僕に神様が祝福してくれたに違いない。ありがとう神様!!」
そして努はいつのまにか駆け足になって家に帰っていった。
興奮が冷めぬまま、古びたボロアパートの一室の自宅に努は帰宅したとき、ちょうど努に一本の電話が入った。
取立ての電話は毎日入ってくるが、その電話番号は登録済みだったので他の電話番号は久々だった。
多少怪しみながらも恐る恐る努は電話をとった。
「はい、もしもし」
「もしもし、月無さんのお宅ですか?」
やんわりとだが礼儀正しい口調の男性の声だったが
(いけない、これは礼儀正しいとこちらを油断させて隙をつけ入る方法。何かあるね。これは気をつけないと)
考えすぎでは?と思ってしまうくらいの努の考えもあながち外れてはいなかった。
「ラブフル金融の者ですけど、まだ口座に入金が確認できないのですが?」
「!!」
(しまった!忘れてた!そういえば父さんと母さんが新しく借金したところだよ)
「あっ、あのそれは・・・まだ返済できないというか・・・あの」
努のこの反応を聞いた瞬間相手の口調が変わった。
そう、それはまるで百獣の王ライオンがチワワにパシられているが如く・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おいライオン、パン買ってこいよ」
「チ、チワワさん。さっきジュース買いに行ったばっかりなんですけど・・・」
「あァあ?なに、この優良種たるチワワ様に楯突こうってのか!!
ライオンのくせに生意気な!!」
「ひイイィィィィィィィィィ!!すいません今すぐ買ってきます、チワワさん」
「チワワ様だ、豚がぁ!!」
「すいませんでした!!チワワ様」
「けっ、使えねえヤローだな」
チクショウ!!俺は百獣の王ライオンだぞ!!あいつが来るまでは俺がこの世界の王で、皆が俺の前にひれ伏していたのに・・・
あのチワワ骨法とかいうわけのわからんまがい物にやられてしまった。
いきなり俺の股関節はずしてきて動けなくなったところをひたすらリンチだぞ!!(泣)
今まで俺の前にひれ伏していたやつらも俺のことをパシりやがって・・・
いつか殺す!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「は?何言ってんだお前?ふざけたこと言ってんじゃねーぞゴラァ!!」
(やばい!メチャクチャキレてる!これはなんとかしないと)
「あっ、あの実はぼk」
「おい月無さんよ。今日中に金払えないんだったらテメーの息子売らんかい!!ボケ!」
(ギャーーーーーーーー!!まっ、マジで殺される!今までだって何回も似たような場面はあったさ。けど・・・相手の声の合間に
「お願い!うちの子には手を出さないで!」
とか、
「助けてお母さん!」
とか、
「お前らはまだマシなほうだよ。明日にはバラされて内蔵売られる中坊もいるんだからな」
と電話の相手の声がその親子に向かって言ってたりとか・・・
バラされて内蔵売られる中坊って僕のこと?もうすぐ高校生なんだけどね・・・
ていうか、どっから電話してるのさ?あは、あはは・・・)
「今日返せんのなら、明日息子をもらいにくるからな。あばよ」
「ツーツーツーツー(電話が切れた音)」
「・・・」
やっぱり今日もツイてなかった。神様なんて大っ嫌いだーーーーーー!!!