第三章
「あっ、神花。」
「おっ、橋口じゃん。」
昇降口で靴をかえている途中に、3年2組の橋口景助(はしぐちけいすけ)に会った。
「今日の部活って部結成だけだからすぐに帰れるよな?」
「たしかそうだったと思うよ。前に共崎(きょうさき)先生が言ってたから。」
「だよな。それなら問題ないな。」
靴を履き替えた春輝と景助は一緒に体育館に向かった。
景助は陽太と同じ2組で、春輝と同じバスケ部に所属していて、陽太とは違って割りと丁寧な性格で少し控えめだが初対面の人には好印象を抱かれるような少年である。
小柄だが足が速く、春輝とのフォワードでのコンビはなかなか相性がよくて、景助がアシストして春輝がシュートをするという構図ができていた。
体育館ではすでに1年、2年、3年とほとんどの生徒が来ていて、残るは春輝と景助の二人だけだった。
「やばっ、ちょっと急ぐぞ。」
「そうだね。共崎先生もういるし。」
二人はすぐに靴を体育館シューズに履き替え、体育館の中へと入った。
「二人とも遅いぞ!」
「すいません、掃除していました。」
「俺も橋口と同じです。」
春輝と景助は共崎の体育館に響き渡った声に弁明した。
「まあいい、今度からさっさと掃除を終わらせて来い。」
「「はい。」」
二人はそそくさと3年生の列に並んだ。
「全員そろったな。では、これから部の説明を始める。」
共崎は新しく入ってきた1年に向かって話し始めた。
そして部の練習内容などを話した次に、1,2,3年の順番で自己紹介した。
「これで一通り終わったな。とりあえず今日は解散だ。」
退屈そうに聞いていた春輝はうーんと伸びをして、入荷されたアレを楽しみにしながら、靴を履き替えて足早に昇降口に向かった。