第1話 3人の魔導師見習い

青い空。白い雲。太陽の光がとても暖かく感じる。季節は冬。春になると桜などが咲いてとても綺麗に咲くが今は葉は散って木は裸の状態になっている。
長い並木道の舗装された道を3人は歩いていた。
3人の内2人は男の子、1人は女の子だ。3人は学校に登校していた。
この3人は幼馴染ということでいつも一緒に学校へ通っている。
いつもの3人が、いつものように談笑し、いつものように登校していた。
「なぁ、そろそろ俺らは中等部に入学するけど自己紹介を考えたか?」
「えっ、私?私は昨日考えたよ。」
3人はもうすぐ中等部に入学すると言う事で中等部のことについて話をしていたようだ。
彼らは「魔導学園」の小等部の生徒だ。小等部は10歳から14歳の4年間通う。つまり彼らは14歳と言うことになる。
魔導学園は将来立派な魔導師になるために作られた学校だ。エスカレータ式なので入試などのテストはない。
魔導師は魔法を利用し困っている人を助けるための職業であり、魔導学園は魔導師を育成するための学校である。
しかし魔導師には魔法を使えることをいい事に悪巧みをする輩も現れる。すべての魔導師がいいというわけではない。
魔法を使えるのはごく一部の人だけなのだ。大抵の人は魔法を使えても力が弱すぎてあっても無くても同じようなものという人が多い。魔法がまったく使えない。つまり魔力がない。という人もいる。
本来、魔力と言うものはみんなが持っているものだ。使えないのは使い方を知らないだけで誰でも使える。と言うのが最近学会が発表した。
魔法が使えない人が、ふとしたことで使えるようになった、というのはたまに聞く。しかし、使い方を知らないというのは使えないというのと同じことで使えない人が多いのは変わりなかった。
魔法を使える人は少数で才能を伸ばそうと設立されたのが魔導学園。3人は少数の魔法を使える人間ということで魔導学園の生徒になっている。
少数しかいないせいか世間ではエリートとして見られているようで同じ年代の人と話をしても向こう側が敬語を使いぎくしゃくする。それで同年代の友達ができにくく男女関係なしに友達になる事が魔導学園では多い。
そういうこうもあって3人はいつも仲良く一緒にいる。
「なぁちょっとどんな自己紹介なんだ?聞かせてくれよ。」
「いいけど、いいだしっぺの人から言おうね。」
分かったよ。そういって少し渋い顔をする。まさか自分が最初に言うことになるとは思ってなかったようだ。
「俺の名前は水鏡 明(すいきょう あきら)!得意な魔法は熱血を表す炎!よろしくな!」
つんつん頭が目立つ。瞳には炎が映ってきそうなほど何に対してなのがやる気がある。(勉強のときは別)しまりがある顔だ。
じゃあ今度は私の番だね。といって女の子が手を胸の前に合わせながら言った。
「私の名前は犬神 供子(いぬがみ きょうこ)!よくぼーっとしているけど別に眠いわけじゃないからね。」
いつも本当にぼーとしている。そのせいか顔にしまりがない。髪が腰の辺りまで伸びている。容姿はいいほうだ。
言い終わった後、照れ笑いをしていた。仲のいい二人と言えど自己紹介するのは少し恥ずかしかったらしい。
自己紹介というのは妙に恥ずかしいものがある。きっと知らない人に変な風に見られたくないと思うところから来るのだろうが、知り合いに自己紹介をするときには別の恥ずかしさがある。
「お前らなぁ自己紹介なんて考えてどうするんだ?」
今まで口を閉じていた男の子が言った。
「中等部に入学したときに使うに決まってんじゃないか。」
「うちの学校はエスカレーター式だから中等部に行ってもクラスは変わらないぞ。」
「あっ・・・」
2人は口をそろえていった。魔導学園には1学年1クラスしかない。なので進級しようと進学しようとクラスメイトは変わらないのだ。しかも教師のほうも少しの人数しかいないので小等部から高等部の先生の顔は知っている。なので自己紹介をする必要は全然無いのだ。
「くそぅ。1時間も考えたのに・・・。苦労が一瞬にして水の泡だ・・・。」
「お前あれだけなのに1時間もかかったのかよ。」
明は悔しそうに言った。供子に関しては照れ笑いで赤くなっていた顔がさらに赤くなっている。
「ちくしょーー!お前も自己紹介をしやがれ!俺達だけしたのは恥ずかしいから!」
無茶苦茶な言いがかりだなと思いつつも少し間を空けて自己紹介をした。
「ボクの名前は切磋 琢磨(きみが たくま)。明と供子の突っ込み役です。よろしく。」
淡々と言った。顔からあまり精気は感じない。髪の毛も特徴は無く、ただのショートヘアだ。2人の突っ込み役というのは正しいようで2人を相手しているうちに疲れて精気が抜けて言ったのかもしれない。明はよく無茶をするし、供子は天然ボケでまた困る。無理も無い話しだ。
明は勉強が苦手でテストがやりたくないと2人に言ったら供子が冗談半分で「テストのときに暴れればやらないですむね。」と言ったら本当に実行した。暴れるだけなら良かったが明はさらに職員室にまで殴りこみテスト問題を奪おうとまでした。
供子は供子で天然ボケが強かった。ぼーっとしているだけならまだいいと何度も思った。小等部の入学言葉の代表が供子だった。そのときに、供子はしばらく黙ってしまった。しばらく経って供子が「・・・・・・そうそう、わたしのなまえはいぬがみきょうこです!」と言った。どうやら自分の名前を忘れていたようだ。
そんな2人に振り回されたのが琢磨だ。最初のころは感情を表すのが1番多かったが2人に振り回されている間にどんどん感情を表さなくなっていった。
話をしているうちに学校が見えてきた。今日は卒業試験の練習なので校舎には入らずに直接グラウンドに集合だ。3人とも話を聞いているだけの授業などつまらなくて嫌いだったので嬉しい限りだ。
魔導学園といっても普通の学校となんら変わりは無かった。変わったところと言ったらレンガでできているぐらいなものだ。すぐ崩れてしまいそうだが魔法の力によって震度7強の地震が来たとしても倒れないで原形をとどめるだろう。中身に関しては色々と違うが外見に関してはちょっと珍しいレンガ造りの校舎ぐらいなものだった。
グラウンドはかなり大きい。ざっと東京ドームぐらいだろうかそのぐらいの広さはある。まぁへんぴな場所にあるものだから柵さえなければもっと広く取れるだろう。・・・崖が多いし一度入ったら戻って来れなくなるという樹海もあるが。
まだクラスメイトは半分ぐらいしか来ていなかった。まだ少し時間があると言う事で重要な事の復習をしようという事になった。
「ボクが説明してあげるからちゃんと聞くように。分かった!?」
「呪文の唱え方だけど大きく分けて3つ。通常呪文。短縮呪文。瞬間呪文。それぞれどん呪文の唱え方と言うと・・・

通常呪文
普通に呪文を唱えて魔法を使うことである。魔法は言葉に魔力を乗せて発動する。魔力とはスタミナみたいなもので魔力があっても魔法を知らないと使えない。魔法というのは魔力を使うための手段である。
通常呪文は魔力をあまり消費せずに強い魔法を打ち出すことができる。言葉に魔力を乗せるわけだから呪文時間が長ければ長いほど強くなる。乗せるときも少しずつ乗せるので負担が少なく結果、魔力をあまり消費せず強い魔法を打ち出すことができるのだ。
しかし、もちろん欠点もある。呪文を唱えている間は他のことができないのだ。もし、やめたり、外からの攻撃によって中断させられた場合は、乗せた魔力を魔法を発動することなく無駄に消費してしまうことになる。緊急のとき以外はこの呪文を唱えられることが多い。

短縮呪文
通常呪文を時間短縮して使うことである。短縮呪文は通常呪文に比べて魔力消費が激しい。魔力消費を抑えると魔法の威力が弱まることになる。少しの言葉に大量の魔力を乗せるわけだから体に負担がかかる上にそれなりの技量が必要になってくる。
短縮呪文は一言(えいっ! たぁ! 喰らえ!等)ですむので緊急時には重要視される。戦闘の時には一番よく唱えられる呪文である。

瞬間呪文
短縮呪文よりさらに短縮され無言で使うことのできる呪文である。ただ言葉を発しないのでそうとう魔力消費が激しい。魔力、技術、魔法との相性がとても高レベルじゃないと発動できない。詳しくは不明。発動の早さ威力共に絶大さを誇るらしい。
昔話にでてくる7つの光る玉をそろえた魔導師は使うことができたらしい。

・・・というわけであると。分かった?」
・・・・・・2人とも寝ていた。それも立ちながら。
こいつら大道芸の才能がある。魔導学園なんて来てないでどっかのサーカス団に行けば花形スターになれるだろう。そこらへんのサーカス団なら立ちながら寝るなんて大技ができるやつはいない。こいつら進む道を間違えてやがる。
琢磨は半分あきれながらも腕を上げる。人差し指を明と供子にむける。息をすぅっと吸う。
「起きろ!」
バチンッ!!
声を出した瞬間光の玉が2人の間にできその光の玉が一気にはじけた。そして風船が割れたような音を出した。
「今日は模擬戦闘訓練だから今使ったような短縮呪文が中心となる!分かったか!!このアホンダラ達!!!」
「へぇ〜ぃ」「ふぁ〜ぃ」
2人は気の抜けた声を出す。少しまじめに話をした自分が馬鹿みたいだ。・・・いつもの事だが。
琢磨はもうすぐ始まるぞ。と言って数分したら先生がやってきた。そして朝の挨拶を済ませ卒業試験の説明をする。
おおまかなルールは3人1組で行動する事。魔物、人等と戦闘になったときは銃等類を使ってはいけない。もし光の玉の奪い合いで人を殺してしまった場合は事故として片付けられるが、そのグループは続行を禁じさらに退学をさせられる。期限は特に設けない。ただしあまりに長引く場合(最長2ヶ月)は終了とする。
試験の間はレーダーみたいなものを常に持ってないといけないらしい。これは各グループの行動を監視するものでサボっている人は留年するらしい。レーダーは壊れた場合は学校に行けば新しいのをもらえる。レーダーの機能は監視するだけでなく光の玉がどこにあるか教えてくれるらしい。ただし有効範囲があって有効範囲は所持者の魔力に影響するらしかった。
卒業試験の説明の後は今日の日程の説明だ。
今日は一人ひとり模擬戦闘を行うみたいだ。動物をかたどった式神をあいてにするということらしい。式神とは主に人型と動物型があり、生き物ではないが生き物みたいに動く。物に魔力を込めて式神をつくるので意思は持っていない。しかし、高等技術を用いれば意思を持った式神もできるらしい。基本的に式神は作った人の命令を聞く。
その式神を使って今日はトレーニングだ。トレーニングと言えど油断していれば殺されてしまう。今日は先生がいるからそんなことは無いが、油断は禁物だ。
まず、先生からお手本を見せるようだ。先生が大きく書かれた魔法陣の中に入る。直径は100mくらいだろう。グラウンドに描かれた魔法陣は魔法や衝撃が外部に飛ばないようにするものらしい。実際魔法を飛ばして標的を外すと流れ弾となり危ない魔法もあったし、魔法で飛ばされる土などは周りの人に迷惑がかかる。なのでその対策の魔法陣だ。
魔法陣に入った先生は軽く準備運動をしている。そして他の先生が何枚かの紙を魔法陣に投げ入れる。地面に付いた瞬間ただの紙切れだったものは犬になり準備運動をしている先生へと襲い掛かった。
出来事は一瞬だった。
右腕を少し上げて人差し指と中指を思い切り空に向けた。何かしゃべったのだろう、唇が動いた。しかし犬のが吼えているので聞き取れない。途端地面から光の細い柱が数十本突き出た。その光が地面を持ち上げるかのように地面を吹き飛ばし先生の周りは犬を巻き込み光に包まれた。
光が収まった時には犬の姿はどこにもなかった。
「ちょっと挨拶が丁寧になり過ぎちまったかな」
それだけ言うと魔法陣跡からでる。地面を思い切り吹き飛ばしたので地面がえぐれている。魔法陣が綺麗に書いてあったが跡形も無くなくなっていた。それでも先生が呪文を唱えると何事も無かったかのように元にもどった。
「やっぱ先生はすっげぇなぁ」
誰が言ったのか分からないが思っていることはみんな同じだろう。先生が使った魔法は攻撃魔法でも上位に位置するものでそうとうな訓練が必要となる。とてもじゃないが小等部には到底まねできない大技だ。まったくお手本にならない。
先生は何体かを一度に相手をしたが子供達の相手は1体。それでもなかなか強いので苦戦するのは間違いないだろう。
先生の強さと威厳を見せ付けられたあと感心しながら生徒は模擬訓練に臨む。





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