第3記 〜もうひとつの物語〜

「こちらメタルウォーズ第13隊隊長ディフィート・クライセンス少佐だ。どうした?」

受話器を手に人気のない所へ足を運ぶ。

その声の主はなりやらあわただしい口調で話し始めた。

「隊長、機械化室に収容してもらいたい人がいるのです。」

「君の名前は?」

「イェーガ・ドルトン…イェーガ・ドルトン伍長です。」

これは鷹志たちが山野上から依頼を受ける10年前もの話である。

この頃からジェノサイズの活動が活性化し地球の軍隊はかなり劣勢にあった。

ジェノサイズは霊紋と呼ばれるものを使い、強力な力を手にしている。

「霊紋」とは死後の世界、冥界から死んだものを現世に呼び出し、そのものの力を自分に付加するというなんとも奇怪なものであった。

これは禁忌とされていたため情報が非常に少なく当初はなす術がなかった。

そのため開発されたのが古代錬金術によって生み出された金属を使った人の機械化である。

腕や足を機械にすることによって筋力を増加したかのような力を得たり、兵器を腕の中に組み込んだりすることによって力を得ることが決断された。

この機械化を行い力を得た軍隊をメタルウォーズという。

しかしこの力を悪用するものも増えつつあったのだった。

とある街の宿に一人の少年の姿があった。

彼の名はアクト・ブリッツ。

肩にかけられる紐のついた鞘を肩にかけている。

ジェノサイズが動き始めた今となって武器を持って出歩くのは普通となっていた。

いつ襲われてもおかしくないからである。

目は緑色、髪は黒く短いが、しっかりとセットしてあって綺麗だ。

腕は程よく筋肉が付きがっしりとしている。

だが身体はすっきりしていていかにも優しそうな体つきだ。

服は上からチョッキをはおり、中は薄着を着ている。

彼は今流行っている闘技場の常連客だ。

ジェノサイズが暴れだしてからこういった力を見せるというものは爆発的な人気を博している。

その魅力に魅せられた一人である。

アクトは階段を下りるとカウンターの女性に一声かけた。

「どうもありがとう、ただで泊めてもらっちゃって。」

彼は闘技場の賞金だけで生活しているためこういうことが度々ある。

闘技場で勝っても貰える金額は雀の涙に近い。

彼は良くこの宿に泊まり近くの闘技場へと足を運ぶことが多い。

最も、彼はいろいろな闘技場にまわっている為いつも泊まるわけでもないのだが。

そんな彼を良く知る宿屋の娘は時折ただで泊めてあげる優しさをみせている。

「なになにこれくらいどうってことないよ。ほれ、今日は闘技場の大会の開催日だろ?早く行きなよ。」

アクトの背中をポンと押す。

その笑顔にいつもアクトは勇気を貰っている。

「ありがとう、じゃあ行ってくる。」

「怪我すんなよ!」

宿から出て行くアクトに大きく手を振った。

アクトは少し振り返ってその少女の姿見るとにっこりと笑顔で返した。

だが彼はこれから起こる惨劇を知る由もなかったのであった…





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