1匹目 日々訓練


今日もつまらない学校が終わった。
特別楽しいことはないし。
正剛は学校の玄関を出ると1つ大きく欠伸をした。
そしてぐっと背伸びをした。
正剛が背伸びをしていると誰かがバックで軽く正剛の背中を叩いた。
正剛はそれに気づいて振り返った。
「よう、氏村。」
氏村はにかにか笑って軽く2、3度正剛の肩を叩いた。
「今日はお2人で帰らないのか正剛君。」
正剛はバック氏村の頭を叩く。
「君はやめろ、君は。」
氏村痛そうに頭を押さえる。
「で…多論とは帰らないのか?」
「トイレで行ってくるんで先に下駄箱へ行っていて下さい、だそうだ。」
「もてるよな。正剛は。」
氏村はひねくれた様に走っていってしまった。
「悪いな…あとでメールでもしておくか。」
頭をぽりぽりかいていると後ろから多論の声がした。
「すいません正剛君。お待たせしてしまって。」
「いやいや、そんなことはないよ。」
バックを担ぐように持ちながら正剛は笑顔で返した。
「さあ、今日も特訓ですよ。」
帰り道、多論は手をぎゅっと握りながら上を向いて言った。
「ああ…でもあれ精神的に疲れるというか…」
はぁとため息一つついた。
「そうでしょうね、そういうものですから。」
「まだちょっとしかできないし。」
多論は慰めるように正剛の肩を叩いた。
「まあまあ、でも正剛君の上達振りは目を瞠りますよ。たった3日であれだけできれば上等です。」
「そうなのか?」
「はい。」
そうこう話しているといつの間にか多論の家についていた。
「さあ、今日も頑張りましょう正剛君。」
「おう。」
そうしても今日も訓練が始まった。
いつものように地下への階段を下り、地下練習場にたどり着く。
そこは東京ドームほど広い、そして何も置かれていない。
だからこそ広く見えてしまうのだが…
練習場の中央まで歩いて行きそこに胡坐で座った。
「こっちに来るだけでも一苦労だよな。何でこんなに広いんだ?」
多論は首を傾げて少し考えた。
「多分集中力が増す…だと思います。」
作った家の住民でも詳しい理由を知らないらしい。
まあ確かにこっちの方が集中力は増しそうだが。
「今日も最初は精神統一練習です。」
これは正に皆さんが想像する通り、目を瞑り手を合わせ集中するあれである。
まだ今日は4日目だが個人的には結構集中できるようになってきたと思う。多分。
多論と一緒にこの練習をする。
暫くの間、この空間に静寂が流れる。
どれだけ経ったか分からないが多論が止め、と言った。
こんな調子で次々と精神練習をしていく。
そして最後の練習、ブラストの発動練習である。
「まだ出来るか分かりませんがやってみましょう。」
多論は鉄板を構える。
「へこめば十分です。やってみましょう。」
「おう。」
正剛は目を瞑り、気を高める。
そして拳を構え真っ直ぐ鉄板へと拳を出す。
がああんと音とともに鉄板が軽くへこんだ。
「お、おおー。」
多論も意外そうだった。
だがそれはすぐに嬉しさに変わった。
「やりましたよ正剛君!凄いです…ほんと…」
多論は少し涙した。
「おいおい、なくなって…」
突然心臓あたりが痛み出した。
「いっ…」
正剛は咄嗟に胸を押さえた。
「だ…大丈夫ですか。」
心配そうにしゃがみ込んで正剛の顔を覗き込む。
「いや大丈夫…少し痛かっただけさ。」
多論は安心したようにほっとため息をつく。
「そうだ、正剛君。これを。」
多論をポケットの中から突如ナイフを取り出した。
正剛は驚いて尻餅をついた。
「うお…びっくりしたなぁ…」
多論は咄嗟に頭を下げた。
「ごめんなさい…」
「いやいいよ…それがどうかしたの?」
正剛は立ち上がりながら多論に問う。
「これは気煉刀(きれんとう)と言ってブラストが出す特殊なエネルギーを使って攻撃する所謂ビームサーベルです。」
そう言って多論が簡単そうにブラストを発動した。
ブラストを発動すると発動した箇所が軽く光るのだ。
前は気づかなかったのだが…
ブラストが発動すると気煉刀から黄色のエネルギー体が飛び出した。
そこそこ長く60cm程の長さだった。
「このようになります。」
正剛はまた珍しそうに目を輝かせた。
「おお、凄い。」
「正剛君は放出量はまだ調整できないと思うのであまり発動しないほうがいいですね。」
「で、何で未完成状態でそれを渡すんだ?」
多論は笑うのを止めた。
そして真剣な目で正剛を見た。
「ついに…ジェノサイズ一味がここ、日本に侵入したようです…何時先頭になってもいいよう持っていてもらいたいんです。」
「分かった。」
そして正剛は多論から気煉刀を受け取った。





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