2匹目 敵初潜入
「あー…ったく…これで何人目だよ。」
その男は調査員の体を真っ二つにして血がべっとりついた剣を振って血を飛ばした。
刀から飛んだ血が地面に赤い花が咲く。
「これで5人目…こちらが日本に潜入したことを察知されましたかね。ザックス上官。」
背中に背負い込んだ鞘に剣をしまいながらもう一人の男はそう言った。
「まあそれはそれで面白いがな。くく…」
ザックスは剣に付着した血を腰に掛けたタオルで血を拭ってその場に捨てた。
「魔王復活の笛(カオスイーハトヴォ)必ず手に入れようじゃないか、なあレスト。」
「はい。ザックス上官。」
そして2人は闇の街に消えていった。
その次の日の夕方のこと。
「正剛くぅぅぅーーん!!」
焦るような多論の声の突如正剛に耳に入った。
振り返ると多論がおどおどしながら走ってきた。
「その子を捕まえてくださーい!」
多論が指差した先にはなんとさそりがいた。
「えっ…ぉ、ぉぅ…」
気合を入れて蠍の腹あたりを持って上げ多論にすぐ渡した。
「ふぅ…」
辛い仕事を終えたときのように正剛はため息を吐いた。
最近少しは慣れてきたというもののやはりびっくりするのが普通である。
「正剛君バスケ上手いですね。」
多論は意外そうに正剛の顔を見つめた。
「まあな。大鹿とよくやってるうちに上手くなってたのさ。」
「この前のレストランバイト店員の方ですね。」
正剛は正直あいつのことを覚えている多論にため息ひとつ吐いた。
「今日も特訓するのか?」
「ええ、行きましょう。」
正剛は日に日に腕を上げていた。
昨日できなかったことはできるようになっているという感じである。
2人がいつもの帰り道の一番大きな坂「大天王坂」を登っていた。
そしてその頂点には昨日の2人がいた。
「ん?あの女…今回のターゲットに似てないか?レスト。」
双眼鏡をレストに渡してザックスは腰にある鞘にしまわれた剣を手に取る。
レストは双眼鏡を覗き込んでザックスに問いかける。
「ザックス上官。どれのことですか?」
「坂を登って来るやつの女のほうだ。」
そう言われるとレストは坂の下のほうを見た。
2人で楽しく会話している多論の存在を確認した。
「はい、そうですザックス上官。」
それを確認するとザックスの口がにやりと頬を上げた。
「ビンゴ、さっさと任務を終わらせてこんな所去るとしようぜ。」
剣を抜いてザックスが坂を駆け下りていくとそれに続いてレストも剣を背中の鞘から抜き出し駆け下りていった。
「と、まあそんな訳でして。」
2人は今日の特訓の詳細について語っていた。
話していると坂の上のほうから何者かが駆け下りてくるのが見えた。
「ん、何だ?あいつら。」
多論はそれを確認するとカードを取り出して掌に当てた。
突如多論の手に笛が飛び出した。
それは薄茶色の笛でそれ以外の特徴は無い。
長さは30cm程の笛だった。
多論をそれをもって構えた。
「はっはー!!」
そう言ってザックスは飛び上がりそのまま多論に向かって剣を下ろした。
多論の腕が少しぴかりと光った。
がああんという音とともに火花が散った。
多論はその斬撃を笛で受け止めていた。
それを振り払ってザックスを振り払った。
レストは正剛に斬りかかった。
正剛ははっとしてその斬撃を後ろに飛んで避けたが少し当たって腹の制服が少し破れた。
ザックス、レストは1度攻撃が終わるとその場に立ち止まった。
「ターゲット…やっと見つけたぞ。」
異様な殺気がその場を包み込んだ。
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