8匹目 大量虐殺集団
「私は…ジェノサイズの一員なの…」
その言葉を聞くと2人の間には少し沈黙が奔った。
静寂の後口を開いたのは正剛だった。
「なんで…ジェノサイズに入ってるんだ?あの人の命も大事にしないような集団に…」
その言葉にさすがの雅も少しかっとなった。
「正剛には分からないよ!私があそこに居る事!!」
雅が叫んで言うと申し訳なさそうに正剛は一礼した。
「ごめん…今のは俺が悪かったよ。」
雅も心を落ち着かせて正剛の下げた後頭部をぐっとおした。
「うぉ。」
「私も言葉が悪かったよ。」
正剛は雅の押さえつけに対抗して頭を上げた。
「正剛、ひとつ言っておきたいことがある。」
「ん?何?」
「ジェノサイズに来ない?今あなたは田村多論って子と一緒にいるんでしょ?」
うんと正剛は頷いた。
「それは確かな話だ。だが俺はジェノサイズに加担するつもりは無い。」
雅はくすっと笑った。
「と言うと思った。じゃあ一つだけ言っておくわ。とりあえず多論から離れて。あのこと一緒に居るようなら私は正剛を殺さなければならなくなる。」
「悪い。それは出来ない…だがお前に殺されるのはごめんだ。」
「私もよ…だから言ってるんじゃない…」
雅は寂しそうに俯いた。
「今度ジェノサイズがここに来るのは10日後…それまでに心を決めて…」
「考えておく。」
でも雅は期待はしてなかった。
昔から正剛はそうである。
一度決めたことは絶対捻じ曲げない。
勉強やら真面目なことに関しては真面目にはなれないのだが。
雅は正剛の部屋の窓を開けた。
「私そろそろ支部に戻らなくちゃならないから…」
正剛は雅の後姿を寂しそうに見送った。
「…じゃあな…」
「正剛…死なないでよ…」
そう一言を残して雅は闇へ走り去ってしまった。
正剛は雅が去った後緊張の糸が切れてベットに突っ伏した。
雅が戻ってきた…それは確かに嬉しいことだ…
だが雅はあのジェノサイズの一員だった…
その事実が雅が去った後にじわりと心に染みてきた。
「雅…多論…俺は…どうすればいいんだ…」
自分はどちらに付くべきか…
常識的に考えると多論の方が正しいに決まっている。
だがジェノサイズに雅が居る。
久々にこういうことに関して悩むのだった。
珍しく寝付けずに正剛は考え込んで眠れなかった。
そして次の日が来た。
昨日からそのことをずっと考えて正剛はぼーっとしていた。
それに気づいた氏村は正剛の目の前で手を振った。
「おお〜い、意識ありますか?」
いつもこういうことをやると殴られるが正剛は手を出さなかった。
「らしくないな…正剛。どうしたんだよ?」
正剛は俯いて暫く黙り込んだ後重く口を開いた。
「俺はどうしたらいいかな…」
突然そう言われ氏村は驚いた。
「お…おぅ…どうしたんだよ。」
「常識的に考えれば見方に付けばいい。だけどな。敵には愛する人が居るんだ。そしたら氏村お前だったらどっちを選ぶ?」
質問が難しかったのか、氏村はうーんと首をかしげるとはっと思いついたように答えた。
「俺だったらあれだ、愛を取る。愛に生きる。」
「ありがとう。少しは参考になった。」
「その少しって何だよ!」
強烈な氏村の突込みが正剛の頬を狙う。
しかし正剛はそれを左腕でガードして右で脇腹をパンチした。
痛かったらしく氏村の口から泡が出てきた。
「て…手厳しい…」
でもそのお陰で正剛の顔は晴々としていた。
なにかつっかえていたものが正剛から取れるのが見て取れた。