9匹目 仄々休日?

久々にほのぼのとした休日がやってきそうだ。
今日は多論いわく。
「今度の休日は特訓は止めにしておきましょうか。正剛君毎日頑張っていますし。」
とのことである。
久々のほのぼの漢字で書くと仄々と書くらしい。知らんが。
さて休日とはいえ何をするか…
正剛は特にそのことに関して考えてなかった。
そして某日曜日。
全く予定を立てていなかった。
眠気が覚めきっていない様子で正剛は階段を降りてきた。
正剛が階段を降ると正剛の母が受話器を手になにやら話し込んでいた。
正剛が欠伸一つすると正剛の母は受話器を正剛に向けた。
「ほら。多論って子から電話よ。」
「おう。」
そう言って受話器を受け取った。
受話器を耳に当てると何やら慌しそうに多論がいった。
「ま…正剛君。今日は休日ですしどこかに出かけませんか?」
正剛はどうせ予定もないので少し考えたうちにいいぜと答えた。
向こうもほっとした様子でしゃべり口調もだんだんといつものおっとりした口調に戻っていた。
「じゃあ遊園地なんてどうでしょう?私の会社が運営している遊園地があるんで。」
「いいぜ、まあ行くってんなら俺も行くよ。」
「じゃ…じゃあすぐ迎えにあがりますね。でわ。」
そこで会話は終了した。
正剛は遊園地に行くということでさっさと朝ごはんを食べ終え髪をワックスで整えびしっとかっこいい服装で決め行く準備万端になった。
しばらく漫画に読んでいると車が停止する音が家の外から聞こえた。
窓から外を見るとリムジンらしき車が家の前に止まっていた。
正剛はそれを見るとぼそっと呟いた。
「やっぱ多論の家って金持ちなんだよな。」
自分ってなんて貧乏なんだろうと胸を打たれながら階段を降りていった。
玄関を開けるととびっきり笑顔の多論が立っていた。
どこかのお嬢様っぽい服装をしてその外見から私は金持ちですという空気が感じ取れた。
でも可愛いことには変わりは無かった。
「さ、正剛君。行きましょ。」
「お…おう。」
多論の服と比べて自分の服はなんて貧相なものだろうと現実に浸りながらがっくり肩を落として正剛はリムジンに乗り込もうとした、そのときである。
「やっほー、正剛!」
かなり最近そして馴染みのある声だった。
こ…この声は…
そう思って正剛が振り返ると案の上そこには雅がいた。
「あれ?正剛このリムジンに乗ってどこかお出かけ?」
不思議そうに正剛の顔を見るとそう問いかけた。
「ま…まぁな…」
あははは…と愛想笑いするとそのまま乗り込もうとした。
雅が走ってそれを止めた。
雅はそのまま車内を覗き込み中にいる人を確認した。
そこに多論の姿を見て取れた。
「っ…田村多論…」
多論の姿を確認すると憎そうな目で多論を見つめた。
その気配に気づき多論も振り返った。
その姿を確認するなり多論の目はあの先頭時と同じ目になった。
「あなたは黒姫雅…正剛君の報告にあったジェノサイズですね。」
2人の目線のぶつかり合いはとても見て入れられるものではなかった。
「あ…あの2人とも…とりあえず外に出ないか?」
ほのぼのとした休日を送るつもりが一触即発の最悪の休日になることは見て取れた。





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