6匹目 御久登場


「本当に大丈夫ですか?」
多論は心配そうに正剛の傷を見た。
「ああ、大丈夫。あの人ののおかげだよ。」
正剛はにっこり笑いガッツポーズをとって元気さをアピールした。
「そうだといいんですが…」
多論はしゅんとしぼむ様に弱弱しくしたに俯いた。
正剛はぽんと肩を叩きにっかと笑った。
「そう気にするなって。傷を負ったのは俺のせいって言ったろ?今度は強くなってこんな傷は負わないようにするからよ。」
「はい…」
そう言いつつも多論の元気さはいつもほどではなかった。
「ところでさっきのブラストスキル?って言ったっけ?それって。」
多論はふぅと一息吐いて弱弱しく口にした。
「ブラストスキルというのはブラストを永木に渉って修練したものが使える個々特有をもった特殊能力です。あるものは地の理を操り、あるものは人の体を治癒したり。」
「ふむ…」
ゲームチックな話に困惑するのはいつものことだ。
にしても…非現実的だな。そう正剛は思った。
「…で俺はまだ使えそうにないと。」
多論は頷いて続けた。
「最低でも10年の修練は必要ですから…私は幼少のころからこういうことを叩き込まれましたからね。だから私は使えます。」
「んじゃどういうスキルなんだ?」
「いつか分かるときが来ます、そのときにお見せしましょう。」
多論の表情から見て取れることは個々ではお見せできないという事だった。
そんなに凄いのか。
少し今後のことを話した後正剛は家に帰ることになった。
「今日は本当にすいませんでした…」
多論はさっきからこの調子だった。
「多論。」
「はい?」
突然名前を呼ばれ多論ははっとした。
「もし俺をこの戦闘に参加させたことを後悔しているのならそれは間違いだ。」
「!」
多論は思っていることを見事に見抜かれ動揺した。
「俺は…俺の決断で多論、君を助けることを選んだ、後悔してない。今回は殺されかけたけどそれでも逃げるつもりはない。世界が潰れれば俺は今ある全てを失ってしまう…そのために俺は戦うんだ。」
「正剛君…」
「微力ながら助太刀したい…それが俺の心だから…そのこと多論には分かってほしい。」
「はい。」
多論の顔に安堵の表情が戻っていくのが正剛からも見て取れた。
「また明日から特訓しよう、今日みたいに足手まといにならないようにさ。」
「はい、勿論歓迎しますよ。」
「じゃ、お休み。」
「お休みなさい。正剛君。」
多論はさっきまでの暗い表情はどこへやら。きらめく笑顔で正剛に手を振って見送った。
「ふぅ…にしても…こっちは直らないみたいだな。」
ずきんずきんと正剛の心臓が痛む。
特訓し始めてからよくあることだ。
いつもならすぐ収まるのだが今回はなぜか痛みが激しいし尚且つ時間が長い。
レストを切って倒れたあとからずっとこんな調子である。
多論に余計な心配をかけないために隠していたが多論の視界から消えるとぎゅっと胸を押さえた。
「はぁ…はぁ…ぐぅぅぅ…」
痛みが頂点を越えやっと痛みが治まった。
今回のは今までになかった痛みである。
痛さのあまり正剛は道路に膝をついていた。
「ったく…これは何なんだろうな…医者に言っても至って正常ですって…藪医者か…」
痛みが消えると正剛はまた立ち上がって自分の家へと歩を進めていった。
暫く歩いて家に着くと誰かが自分の家の前に立っていた。
正剛は不審に思ってその人に声をかけた。
「おい…あっ…」
正剛はその顔を見るとすぐに誰かが分かった。
黒くて短く切った髪、黒い瞳に印象深いピンクのフード。
「み…雅(みやび)…」
雅と呼ばれた少女は正剛の姿を確認すると突然喜びだす。
「おひさ〜正剛!」
正剛は突然の来訪者にあいた口が塞がらなかった。





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